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素晴らしい日本人に聞くシリーズ

第三章 日本人とは何か?

藤原: 田尻社長様は、日本人の真髄を活かした素晴らしい経営をしておられる方でいらっしゃいます。

ですから経営のお話と共に、田尻社長がお考えの「日本人としての真髄」や「日本人として大切にしておられる心」についてお話をお聞かせ頂きたいと思います。

いつごろから、そしてどなたか師事した方がいらっしゃいますか?

田尻惠保様: 私が「日本人とは何だろう?」という問題意識を持つようになったきっかけは学生時代、一橋大学教授で社会心理学者・南博(みなみひろし)先生の弟子になったからなのです。

先生は日本の国民性も研究されていました。先生にはゼミの飛び級でお世話になり、たいへん可愛がっていただきました。

「日本人とは何か」というテーマで大学2年の時論文を書き、この問題意識はそれからもずっと持っていました。

藤原: 十代の頃から・・素晴らしいですね。

田尻惠保様: 私が大学院の時代、『サイコロジカル・トゥデイ』という心理学の専門雑誌がありました。

その中で紹介された、動物の習性を研究する動物行動学の記事が面白かったのです。

日本のミツバチが自分の巣から違う巣に間違って入ってしまうと、どうなるか? 余所者だけれど、仲間として共存していくのです。

ところが、アメリカの同じ種類のミツバチでは、迷い蜂は殺されてしまいます。

では、そういう習性のアメリカのミツバチを日本に連れてきて、丸一年経った時にどうなるのか?

藤原: やはり殺されてしまうのですか?

田尻惠保様: なんと迷い蜂は共存していくようになるのです。

藤原: 日本の風土には、不思議な力があるのですね。

田尻惠保様: そうなのです。

日本人や動物の習性を作っている原点には、日本の風土があるのです。

和辻哲郎も「日本特有の風土が日本文化を生んでいる」という風土論を残しています。

しかし、『サイコロジカル・トゥデイ』で紹介されたようなことが、どうして起こるのかは謎だったのです。

それから二、三年経った頃、京都で「緑の学会」という国際学会が開催されました。

学会長であるスウェーデン人の女性科学者は日本を訪れた際、日本の原生林にはありとあらゆる緑が入り交じっていることに、緑の専門家として、たいへん驚いたと言っていました。

ありとあらゆる緑がある理由は、日本の土壌が氷河期を経ていないからだと、その後知りました。

北海道から東北の一部のエリア以外は氷河期を経ていないのです。氷河期を経ると、多くの種子が死に絶えます。

しかし、氷河期を経ていないなら、大昔からのあらゆる種子が生きていることになるのです。 

私はここにヒントがあると思いました。

藤原: 日本の風土が、氷河期を経ていないことをはじめて知りました。

民族の原点は、自然を見たり、歴史を遡ることで浮き彫りにされていくところがあるのですね。


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