素晴らしい日本人に聞くシリーズ
第三章 日本人とは何か?③
人や動物の習性を作る原点
田尻惠保様: 西洋物質科学では物質を粒子として捉えていました。
ところが、あらゆるものはバイブレーションを持っており、粒子ではなくバイブレーションとして捉える見方が昨今、行われるようになってきました。
横山和成先生(農学博士)は土壌菌の持つバイブレーションを可聴域に変換して音楽にしています。
例えば、日本と北欧の土壌は微生物が違いますから、生まれる音楽も違うものになります。
学生時代、一橋大学教授で社会心理学者・南博(みなみひろし)先生の弟子になったからなのです。
先生は日本の国民性も研究されていました。
藤原: 土壌の微生物のバイブレーションが、音楽になるのですか?
そして日本と北欧の土壌では、その音楽も違うものが作られるのですか?
田尻惠保様: はい、そうです。
日本は多様性のある風土の中で、ありとあらゆるバイブレーションが混じり合っているのです。
我々は森の緑ばかりでなく、大地そのものからして多様で、豊穣なバイブレーションの世界にいるわけなのです。
先ほどのミツバチも、バイブレーションが一様で単純な世界では、巣の違いによるバイブレーションの違いを識別し殺してしまいますが、
いろいろなバイブレーションが溢れている日本ではそうはなりません。
少しの違いなら同じものだと認識する機構が働くのでしょう。
人間も同じです。
倫理や思想の問題ではなく、自然環境といった客観的な世界に応じての行動をとるようになるのでしょう。
そして、これは自然に形成される人倫の秩序といった社会組織の上にも反映されているのではないかと思います。
日本人とは何か? に私が答えるとしたら、
「日本の大地に残されたあらゆる存在、風土、そういうものの中で生まれた動植物のライフスタイル、
その中で生活し、共通するライフスタイルを自分たちの一つの生活習慣、そして価値観として身につけた人たち」
と言うでしょう。
藤原: 私たちは、生まれながらに日本人で、日頃それが当然として生きているので、
なかなか「日本人とは何か?」と問う機会は少ないです。
大学の頃から「日本人とは?」と目を向けられてこられた田尻様ならではの素晴らしいお考えと思います。
私は、和と神社の情報誌『WAGO』という雑誌に、毎号掲載させて頂いているのですが、『和合の精神』は、今、世界的に求められていることだと思います。
日本人が外国からのものを受け入れて、それを日本独自の文化として融合させていく伝統も素晴らしいですね。
それを日本の風土やバイブレーションから解き明かして頂き、新たな目が開かれた思いです。