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素晴らしい日本人に聞くシリーズ

先祖からの流れを受けとめ、百年企業を継承する

撮影:光
田尻惠保 様 田尻成美 様

水博士と言われる横浜の都市拡業株式会社社長の田尻惠保様と奥様の田尻成美様にお話を伺いました。『日本の心』『百年企業としての歴史の重み』『企業のミッションとしての「水の浄化と循環」』日本人としての素晴らしいエピソードも交えお話をお聞かせ頂きました。奥様は、子会社である(株)エランビタールの代表取締役でもいらっしゃいます。

[ご夫妻の詳しいプロフィールはこちらに掲載]

第一章 日本人の力を活かした経営
事業継承のきっかけ

藤原美津子: 田尻様の会社は、百八年の歴史がお有りと伺いました。田尻様はどのような思いで、先祖からの流れを受け継いでおられますか?はじめは学者になるつもりで進んでおられたところから、どんなきっかけで会社を継ぐ決意をされたのでしょうか?


(左から田尻恵保様 田尻成美様ご夫妻と当会会長 藤原美津子)

田尻惠保様: 私が親のあとを継ぐことになったきっかけは、当社で親子二代働いている人の直訴だったのです。誰よりも早く出勤して人の見えないところで会社の掃除していたりして、立派な考えをお持ちの職人頭のようなポジションの方でした。当社の忘年会の後、夜九時頃に我が家を訪ねてきたのです。

そして、「自分はこういうことをあなたに言える立場ではないのだけど、とにかく聞いてください。あなたが今うちの会社に来なければ、会社はつぶれる。俺の目の黒いうちは、絶対にそんなのは見たくないんだ。これはただの自分のわがままかもしれないが、会社に来て欲しい」と涙ながらに訴えられました。

私は心の奥底から揺さぶられるような衝撃を受けました。その時、縦に流れているものの重さというものを実感したのです。それまで親の庇護の元に大学院まで行き、自分が思うままに生きてきました。

しかし、この時はじめて親の社会的な義務や責任は自分の肩にもかかっているのだ、と感じたのです。

若い時には自分という存在をこの身の自分と自分中心に考え、いろんな動機で生きていますが、そうではないのだと。ちゃんと親や先祖からの流れがあって、良くも悪くもその流れの下での社会的な自分があって、有無を言わさずそれを受け継ぎ背負っているのが自分の存在だと実感したのです。

その翌日から鍵類をあずかり、密かに社内の調査を開始しました。その後すぐに決心し、新年早々入社しました。一日でも遅れると危ないと感じたのです。

藤原: 全く畑違いの分野に転身なさったのですね。それも会社の存続がかかっている中での大変なご苦労がおありだったのではないでしょうか。

田尻惠保様: そのとおりです。入社してからは、まさに日々戦いの連続でした。全く経験のない仕事を覚えるという課題を克服することもあり、三年くらいは三六五日、毎日夜中の十二時ころまで働いていました。

それから五年後に代表取締役に就任しました。社長になってから、私はご先祖からこの会社を預かっている、ご先祖に雇われている社長だという感覚がありました。創業百年を迎えるころから、より明確に意識化され、自分は中継ぎの役割をしっかり果たせるように日々過ごしています。

藤原: お話を聞いていて、まさに先祖が託しておられる思いと縦の流れと重さを実感させて頂きました。それにしてもわずか一週間で、人生の進路を変える決断をなされるのは誰でもできる事ではないと思います。


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