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素晴らしい日本人に聞くシリーズ

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第五章②
「積み重ねる」ことが一番大切

高尾院長:「積み重ねる」ということが最高のキーワードだと思います。どうして人は「積み重ねる」という単純なことができないのでしょう。

「先生、どうすれば体が良くなるのですか?」とよく訊かれますが、それは一言で言うと「積み重ねる」こと。「積み重ね」なくして、体は良くならないのです。

以前、左座骨神経痛の症状の重い男性の方がいらしたのですが、改善して大分回復してきました。ところが、半年後に元に戻ったように痛みが再発してしまいました。

それは、動きの意識の仕方をいつの間にか、以前の間違えた自己流で行い始めたからなのです。

その自己流の動き方が高じて坐骨神経を刺激する絞扼障害になったのに、そこに戻ってしまいました。

そして、「先生、ぱっと治せる方法は無い?」と訊くのです。私が「それは無い」と言うと、「分かった。もう面倒くさいから手術する」と手術しました。

しかし、また5年後に再発してしまったのです。それでも男の人は筋力があるので、手術によって改善した状態がずっと続く例は多いと思います。

しかし、女性はやめたほうが良いと私は思います。筋力が無いから、右が改善しても次には左が不調になる可能性が高いですし、他の不調が出現したりします。できる限り手術は、女性にはお勧めしないようにしています。

藤原:「とにかく痛みさえ取ってくれれば良いから、今すぐ取って」という人は、高尾先生には向かないのでしょうね。

高尾院長:そうです。取れることは取れますが、それを目的としたら「これで終わり」ということになる、そうではないのです。そこから始まるのですから。

藤原:私の場合もそうですね。困っている現象はむしろ氷山の一角で、見えていないことの方がよほど大きいと思います。

表面化している痛みや問題が取れたとき、むしろそこからが本当の出発ですね。私も含めて、その積み重ねがなかなか出来にくいのですね。

高尾院長:昔はできたのに、今の人は毎日続けるということができないのですね。

毎日運動してくださいとか、「週一」でも通ってくださいということが、なかなかできないのです。優先順位が低いからなのでしょうが……。

一ヶ月に一度の運動で良くなろうというのは無理です。人間も動物も毎日、積み重ねていくべきものなのです。

例えば、アライグマでしたら毎日、洗うから上手になるのです。そうしてアライグマとしての人生をまっとうするわけです。

人間も毎日、少なくとも「週一」は動かないと良くならないです。そうでないと、自分の体が離れていってしまいます。体の何分の一かを失うのです。だから私は、「週一」のレッスンにこだわっているのです。

世界を救う感性を持ったのが日本人

高尾院長:外国の方には、私のメソッドは難しいようです。これも若い人たちに伝えたいことですね。

私のところへいらっしゃる外国人は、日本が、日本の考え方が好きでいらっしゃって、東洋医学的なものに救いを求めているわけです。

そういう東洋医学的な捉え方に心惹かれている方でも私のメソッドの考え方は難しいようです。

それは基本となる考え方……、心身が共にあり、共感してこそ「命」というものが実現できるという考え方、そして自然の中で一つの「命」として与えられているというような考え方は、日本人にしかできない、日本人特有の概念だからなのです。

藤原:「世界を救う感性を持ったのが日本人」ということはよく言われています。

だからこそ、その感性をどうやって呼び覚ましたらいいのだろう、と考えています。

今はいろんなことがずれたり狂ったりしていますが、みんなもっと自分の「命」というものを見つめるべきです。

それに目覚めてもらうにはどういう風にすればいいんだろう、とずっと考えているのです。

高尾先生のメソッドでしたら、自分の「命」を目覚めさせるとか、自分の体と対話するということができるようになると思います。

先生のところに来られるのが一番良いのでしょうが、それが難しい方々が全国にいらっしゃいますから、先生の教えや感性をいろんな形で伝える、ということは絶対必要だと思います。

高尾院長:そうですね。これまでは、目の前のクライアントや生徒さんを相手にするのが私の任務だと思っていました。

とにかく数限られた、ご縁のあった方々にお伝えし、その方々を改善方向に導ければ、十分だと思っていたのです。

でも、藤原先生からもご助言いただき、また、生徒さんからも「教科書を」と請われ、教科書を製作しました。

このように少しでも多く方にお伝えする努力をするべきだという気持ちになったところです。

さて、先ほどの日本人の感性についてのお話を続けますね。

人間は股関節から上が上半身で、下が下半身になります。東洋医学では、本来「気」は動く中心になる丹田にあるべきもので、これが上へ上がっていった時に「胸やけ」や「火照り」となり、上まで行き過ぎると鬱になる、という捉え方があります。

これをレッスンで体を動かして、体感しながらご説明すると、多くの方は共感していただける様です。

とくに日本人に説明すると、なんとなくであっても「そうだよね」と思ってくださる。

しかし知り合いのアメリカ人にそういうことを英訳してもらおうとすると、「それでは通じない。それでは分からない」という感じになります。

やはり、みなさんと分かち合えるという感じは、日本人特有のものなのだと思います。このような感性は絶やしたくないですね。大事にしたいです。

藤原:絶えさせないために、どうやって日本人の力を甦らせていくか、ですね。

欧米社会でも科学的な思考では限界にきていて、例えばIT産業の人が日本の禅を学んでいたりします。

欧米人向けの神道の入門書が無いので、そういうものを書いてくれませんかというお話もあります。

でも、それには神道だけでなく、高尾先生のような健康のことや、家庭教育のことなど、いろいろな内容があってしかるべきです。

とりあえず、私はそれらを対談記事として、世界へ発信していきたいと思っているのです。

高尾院長:日本の風土、歴史の中に「自然と共にあるがままの姿で、自分が背負っているお役目を全うしていくこと」を理想とする世界観・価値観があります。

この世界観・価値観は、他の国には無いものではないでしょうか。民度の違いと言いますか、感覚として持っていないのです。

だから、日本人の存在は大切なのだと思います。その中で、私も少しでもお役に立てればいいな、と考えているのです。


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