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素晴らしい日本人に聞くシリーズ

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第五章
動くということは食べることと同じ

藤原:高尾先生のお話をじっくり伺って、ようやく私も理解したのですが……、 50歳過ぎた人が3歳の時の怪我が元で今も具合が悪いとか、古い過去の事故とか怪我が影響しているとか、なかなか思えないでしょうね。

高尾院長:野生動物を見ればよく分かります。ちょっと損傷したら、それを包むようにうまく守っています。

例えば、片足を損傷したタヌキは、それをうまく他で代償し、体すべてで代償しながら命をまっとうしているのです。

私たちも動物であり、特別なものではないのです。そこを間違えてはいけません。動いてこそ、良くなるものなのです。

藤原:動かないとダメなのですね。

高尾院長:そうです。だから、癒すために動かないか、育てるために動くか。

この「動く」ということがキーワードであり、これを薬のように使います。私の処方箋は「動き」です。

これは若い人たちにも伝えたいことなのですが、体はお医者様や施術者がいなくても、ジムが無くても、動いて育てられるものでなのです。私たちも野生動物と同じであり、命をまっとうできるものです。

自分の体の中に本来「治癒力」はあるのだから、「十代初期から飲める便秘薬」などというのは如何なものかと思います。

体調不良の40代女性に「あなたの体の中に力があるのですよ」とお伝えし調整していただくと、生殖器関係から立ち直っていきます。

生殖器というのは動物が最も強靭に与えられた機能です。なぜなら、命を繋ぐことが生き物の最大の務めですから。傷むけれども回復も早いのです。

藤原:今の日本人はあと50年もしたら子供ができなくなるとか、人口が減っていくとか、すごく問題にされていますね。そういう気付きはすごく大切ですね。

「こういう世界があることを知らなかったので、すごく良かったです」とある若い社長が言っておられました。

週一度皇居の周りをマラソンしたりして満足していたが、実際は自分の体をもっと見つめないといけないと気づかされたのだそうです。

忙しいから、時間がないからという問題ではないのですね。

高尾院長:そうです。プライオリティ(優先度)の問題ですが、私はやはり「動く」ということをもう少し上のポジションへ持っていきたいのです。

「動く」ということは、食べることと同じです。動物なのだから、動いて命をまっとうするものなのです。

藤原:動いて、正しく神経が通っていると、感度も正しくなるでしょうね。

高尾院長:そうです。感性が豊かになるのです。

今の人は生命力が弱い、という感じはしています。つまり、自分の体を自分で治した経験が無い。これも若い人たちに伝えたいことですね。

若いクライアントには「自分である程度まで改善することができるのだ、と体に体験させてあげて」と言っているのです。

私も30代初期股関節痛で手術をすすめられましたが、結局手術をしないで、そうなった原因を究明し、弱化した筋肉を育てて現在はコントロールできています。

それ(股関節痛)を理解によって治めている、という感じです。もちろん完治していません。忙しかったり、精神的肉体的に落ち込んでいる時は股関節痛は再発します。

つまり、ただ解いているだけなのです。でも完治しなくても良いのです。私のやりたいことさえできれば。完治しないものを抱えているからこそ、生きることに感謝できます。

私たちはロボットではないのですから、部品を変えて新しくなるわけではありません。

ピシッと治して欲しいというのは望めないことだと思います。「完治」はありえません。「寛解(かんかい)」させるのです。

藤原:寛解ですか・・「治してやろう!」と思うから出来ないのですね。


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