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素晴らしい日本人に聞くシリーズ

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第三章
「至誠通天 (しせいてんにつうず)
『誠を尽くせば思いは天に通ずる』」が座右の銘

藤原美津子:鳥羽会長は様々な企業で学び、現在の形を築いたとおっしゃいますが、傍から見ていますと、鳥羽様ご自身が新しく考案し、実践し、時代を切り開いてこられたように思います。

常に創意工夫をされて来た鳥羽会長から見て、今の若い方々に対しては、どのように感じられますか?

鳥羽博道会長:ぼくは「今の若い者は」ということは、絶対に言いたくないですね。社員に対してもそういう言葉を使ったことはありません。

簡単に「今の若いものは」という形で片付けてはいけないと思います。

「鋼鉄王」と称されたアメリカの大富豪アンドリュー・カーネギーが残した言葉に「清貧の家に生まれた子供は、裕福な家で育った子より何倍も宝物を持っている」というのがあります。

カーネギーが言っているのは、貧困であるが故に、ああしたい、こうしたいという切なる思いが生まれ、それが行動力につながっていくということです。

つまり、そういった「意欲」「活力」というものは、ある程度、環境に影響を受けています。現代の日本の若者たちは、恵まれた環境に育ったため、夢を持ちづらくなってきているのではないかな……と思います。

藤原美津子:鳥羽会長の「意欲」も、環境から与えられたものと思われますか?

鳥羽博道会長:そうですね。ぼくは高校生の頃に家を飛び出したのですが、そのままぬくぬくと家にいたら、今のぼくはなかったと思います。

今になって振り返ると、父親のぼくに対する深い愛情を感じます。ぼくが自分自身の進むべき道を見つけられたのは、父の教えがあったからだと思います。

藤原美津子:お父様の教えとは、具体的にどのようなことでしたか?

鳥羽博道会長:父親から教えられたことはいくつもあります。 ひとつは「至誠通天」という言葉。

「誠を尽くせば思いは天に通ずる」という孟子の言葉ですが、この額が家にあって、毎日それを見て育ちました。何の抵抗もなく、その言葉を受け入れて育った……ということは、とても大きいと思います。

ぼくは子供の頃、父から勉強しろ、と言われたことはありません。ですが、ぼくの家には書庫があって、そこに分厚い本が山のようにありました。それを見て、父はすごく勉強した人なんだな……ということを感じて育ちました。

ですので、今ぼくも同じように、子どもたちに本をすべて残しています。それらの本を見て、子供たちがどのように感じてくれてるかはわかりませんが。

子供たちには、「こうしなさい」と押し付けるのではなく、ごく自然に様々なことを感じて生きていって欲しいと思います。

藤原美津子:その他には、どんなことをお父様から教えられましたか?

鳥羽博道会長:経済力を持つ……ということですね。父は、経済力のない人でしたから、ぼくは経済力の必要性を強く感じて育ちました。

それと同時に、父から教えられたのは「金の貧乏はしても心の貧乏はするな」ということ。お金の僕になるような、生き方はするな……ということです。

鳥羽家の墓石には「金の貧乏はしても心の貧乏はするな 鳥羽徳二郎」と、父の言葉が彫ってあります。

家族でお墓参りに行く度に子供たちがそれを見る訳ですから、自然にその言葉が入っているだろうと思います。

父の言葉の隣には、「一杯のおいしいコーヒーを通じてやすらぎと活力を」という、ぼくの言葉を彫っています。

「やすらぎと活力を提供する」言いますと不遜になりますので「提供を」で止めて「博道」と署名しています。

その隣は余白を空けており、長男に「何か感じたことをここに入れてくれ」と、言っています。

藤原美津子:言葉で押し付けるのではなく、父親の背中を見せて自然に学ばせる。素晴らしい教育ですね。それが鳥羽家の何よりの財産かもしれませんね。


次回  第四章『「子供も社員も「親の背中を見て育つ」』 を掲載

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